中高年ひきこもり──支援の鍵は(中) 気軽な相談窓口を

愛知教育大准教授 川北稔さん 情報共有し長く見守る

愛知教育大准教授の川北稔さんは支援現場の研究を通じ、年老いた両親がひきこもる中高年の子どもを抱え込む姿を見てきた。

――孤立する親子の支援の現状をどう見るか。

「親の介護を通じて初めてひきこもり状態の子の存在が家族以外に知られる例が増えている」

「2019年に行った調査で、高齢者の介護に携わる全国の地域包括支援センターの約8割が『無職の子と同居する高齢者の支援をした』と答えた。介護サービスを拒否する高齢者のなかには、自宅にひきこもる子どもの存在を隠している人もいる」

「子どもの存在を知ったケアマネジャーらが情報を抱え込まず、行政の各部署で共有する仕組みを作っていくべきだ。複数の機関が連携して家族を見守ってほしい」

――支援の縦割りの弊害を指摘する人もいる。

「中高年のひきこもりに対する支援は現状では、精神保健の分野でメンタルヘルスの問題として扱われるか、自立のための就労支援を検討するかが主だ。それぞれの専門組織が独自の基準で支援対象になるかを線引きするケースも多い」

「各組織の支援の枠組みに当てはまらないからといって関与しなくなれば、せっかく相談に訪れた人を再度、孤立させることになりかねない」

「まずは中高年の抱える生活の問題全般について、親や本人が困りごとを気軽に相談できる窓口を増やしたらどうか」

「『市民課』のような対象を問わない部署が最初の接点を担当し、様々な問題の専門部署や機関につなぐ仕組みならば当事者との関係も継続しやすいはずだ。各組織の情報共有も進め、連携も深めてほしい」

――それぞれの組織に求められるのは。

「各家庭の抱える事情は十人十色だ。支援する側は事情を理解するため、長ければ数年単位で関わる必要がある。福祉関係の支援はこれまで、属人的で、職員個人のスキルや熱意に委ねられてきた側面がある」

「せっかく本人との間に信頼関係が生まれても、担当者の異動で支援側との接点が途絶える事例もある。個人の力量だけに頼らず、悩みを抱える人たちと組織全体でかかわる姿勢が大切だ」 

かわきた・みのる 神奈川県生まれ。社会学者として、児童生徒の不登校や若者・中高年のひきこもりの調査や研究を行う。近著に「8050問題の深層 『限界家族』をどう救うか」など。