「SOS」待たず出向く 中高年ひきこもり支援の鍵(上)

大阪府豊中市社会福祉協議会 勝部麗子さん

社会から孤立した中高年の人をどう支えるかが問われている。推計ではひきこもった状態の40~64歳は61万人に上る中で、福祉の最前線で問題に向き合う専門家に支援の鍵を聞いた。

――ひきこもり状態の50代を80代の親が支える「8050(はちまるごーまる)問題」が注目を集めている。長年にわたって地域の現場を見つめてきた立場からこの問題をどう見ているか。

「8050問題は内閣府が3月、自宅に閉じこもる40~64歳が全国で推計61万人いるという調査結果を発表して一気に関心が高まった。地域福祉の現場を見てきた経験から見れば、この調査の結果は意外ではない」

「背景には世代間の経済格差もあるのだと思う。80代の親は高度経済成長時代に正社員として勤め上げ、マイホームで年金生活をしている人たちが多い」

「一方50代である子供の世代はバブル崩壊などによる景気後退で、非正規雇用の割合が高まった。経済的にゆとりのある親を頼り、実家に住み続ける50代が増えている」

――支える側に求められている点は。

「若者のひきこもり支援策は以前からあったが、40代以上の場合は充実しているとは言いがたい。就労支援、生活保護制度など様々な施策のはざまにある問題ともいえる」

「恥ずかしさや自身を責める気持ちなどを理由に、成人した我が子の問題を周囲に打ち明けられない親も多く、支援を難しくしている」

「行政などは福祉の相談窓口を設けているが、家庭の問題で困っている人は自ら助けを求められないことも多い。支援する側から何度も接触を試みる『アウトリーチ』の姿勢が大切だ」

「話をする関係までの道は平たんでなく、支援を申し出ても断られることも多い。『この人になら相談してもよいかも』と心を開いてくれるまで何度も会いに行く」

――接する上で配慮すべき点は。

「ひきこもり状態の人を訪ねる際、自分が大切にするのは『支援ではなくスカウトする』意識だ。絵や工作など対話の中でその人が好きなことを見つけて引き出していく」

「数年前に出会った40代の女性はイラストを描くのが大好きだった。自分が勤務する豊中市社会福祉協議会の取り組みを漫画に描いてくれないか、と頼むことで徐々に心を開いてくれ、結果的には計4冊のシリーズを同社協から発売した」

「彼女も漫画をきっかけに社協の職員らとつながりが生まれ、現在は社協の運営する食品・雑貨販売店で店員を務めてくれている。支援する側がSOSを待つのではなく『助けさせてください』と歩み寄ることができるか。相手の目線に立った根気強いアプローチが重要だ」